経営コンサルタントに相談にくる相談者(クライアント)は困っている・悩みを抱えているという人が大半である。
そもそも悩みがなければ誰かに相談する必要もない。(実際のところ、単に話を聞いて欲しいという相談者や、自分の自慢しかしない相談者も多いのであるが)
この場合、経営コンサルタントとして、相談内容が自分のよく分からないことだった場合、どうすれば良いのかという問題がある。
考えられるパターンは、
- 困っているのだからどんな相談にも最善を尽くす
- 自分の知らないことは断る
- 自分の得意領域に強引に内容を持ち込む
ということだろう。
困っている人なんだから、自分で知らないことでも調べる、あるいは知ったかぶる、などで何とか対応しようとする。
これは、いわば経営コンサルタントの総合化といってよいだろう。自分の専門領域はあるが、あるいは専門領域を持たずに、全ての案件に柔軟に対処することを目指すもの。
一方で、知らないことは知らないし、専門外のものは全て断るという方針の場合、経営コンサルタントの専門化ということができる。
自分の知っていることに強引に結びつける、いわば内容のすり替えは好ましいとは言えない。(実際になんでもかんでもITに結びつけたり、自分の得意分野に持っていく経営コンサルタントも実は多いのであるが、考え方を変えればこれも自分の専門領域を持っているという見方もできなくはない。)
あなたはどのような対応をするだろうか?
善し悪しの問題ではなく、実際に相談に来る人はバラエティに富んだ内容を持ってくるので、その対応如何というのは重要であるといえる。
個人的にはどちらということでもないが、考える視点としては「医者」がある。
経営コンサルタントは企業の医者といわれているが、この場合、一般的な医者というものがどういった対応をしているのかを参考にすることができるだろう。
それは、個人レベルで言うならば専門化が圧倒的多数だ。個人の開業医で、「うちはどんなことも診れます」というのはないだろう。歯医者、外科、内科、耳鼻科・・・という形で専門化している。
つまり、経営コンサルタントが個人で活躍する場合には専門分野を絞ったほうがよさそうだ。
一方、組織として活動する場合はどうか。
この場合は、「病院」という考え方になる。
総合病院もあれば、専門的な分野を持った病院もある。組織で経営コンサルタント業務を行う場合には、専門性を持った経営コンサルタントを、「特定の専門性」に限定して集めるか、あるいは、「いろいろな専門性」に広げて集めるかによって変わってくる。
どちらが良い・悪いということではない。
専門的なアドバイスをもらいたいのであれば、専門病院に行くだろう。しかし、何が問題なのか良く分からないのであれば、総合病院に行くだろう。
コンサルタントの世界は、医者に例えると分かりやすいのだといえる。
いずれにしても、あなた個人としては専門的な領域が必要になることは間違いなさそうだ。